当社の幹部もよく読んでいて私も何度も読み返している
「ビジョナリーカンパニー」の著書、
ジム・コリンズ氏のインタビュー。

わずか数ページだけだったのですが、
自分にぐっと刺さるものがありました。

ジム・コリンズ氏によると、日本企業は復活できるとした上で
3つのポイントがあると話をされています。

1)まず人選ありき。
  優秀な人材を中核ポストに配置する。

2)残酷な現実の直視。
  感情的にではなく、冷徹に事実を認識する。

3)銃撃に続いて、大砲発射。
  成功事例を分析し、大きな決断をする。



この中でも一番響いたのが、「残酷な現実の直視」

言葉は非常に厳しく冷たい印象がありますが、
確かに、と思い出したことがありました。


成果を出している人は現実を直視し、
成果が出てない人は現実から逃げる。


これは組織でも同様です。

大きな成果を出す組織は、メンバーが
目の前の事実に素直に向き合っている。

その一方、

成果が出ていない組織ほど、危機感が乏しい。


これは

「成果を出す組織は、現実を直視する」

という考えに集約されます。


人事本部に異動してから7年間、私は
活躍する人材や組織にたくさん触れる機会に
恵まれましたが、そこで得られたひとつの
持論ともいえるものです。


大きな成果を出す人は、
現実を直視することをおそれません。

むしろ「現実を直視しないことを恐れる」
言ってもよいと思います。

こういう人は良いことも悪いこともきちんとうけとめて
決断や判断でも正確な事実から行うので、
判断にブレがありません。

また仮に間違えてもその正確な事実に
立ち戻ってすぐに軌道修正ができます。
だから結果的に大きな成果を出せるのです。


一方、自分の目の前にある事実に向き合えてない人もいます。

例えば自分の仕事や役割で成果が出ていないのに
ソーシャルメディアで評論家のように論評ばかりしたり、
有名人とまるで知り合いかのようにふるまったり。

本人が気づきながらも成長へ試行錯誤している場合は
良いのですが、こういう「イタい」ズレは
周囲の人も指摘するのをためらうことが多く、
軌道修正になかなか進まないことも多いものです


人にも組織にも、必ず好不調の波があります。

成果が出てないことや失敗したことを恥じたり
恐れたりする必要はありませんし、
挑戦していれば、結果はどうあれ学びが増えていきます。


あくまで怖いことは、

現実を直視できてない自分に、
気づいていないこと。


こうならないためにも、チームや自分自身で
「事実に向き合う習慣や覚悟」を持つことが大切です。


たとえばサイバーエージェントの場合、
「あした会議」などは現実を直視する良い機会に
なっています
。役員が真剣勝負で会社の成長分野や
課題について提案するというのは
ものすごいプレッシャーもありますが、
経営陣と参加してくれている
社員が一丸となって向き合うことが
できるものとなっています。


ちなみにこのジム・コリンズ氏のインタビューでは
組織で「残酷な現実を直視」できるように、
ひとつの方法論が提示されていました。

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■残酷な現実の直視の方法

白紙1枚を手にとり、中央に上下の直線を引きます。
左側に社内の問題、右側に社外の問題を列挙します。
列挙する項目は冷徹な事実だけです。

目的は論破不可能な事実をみんなで認識することです。
===

もっと成果を伸ばしたいという思いがあるチームや、
成果がまだ出ていないチームでは
こういうグループワークをとりいれてみると
新たな視点が見つかると思います。

個人において現実を直視するという点で
活躍する人材の習慣を見てみると、

「第三者に自分をさらす」

ということをやっています。


■個人でできる現実の直視の方法

1)第三者の相談相手をもち、すべての意見を受け止める。
2)ブログ等に自分の意志を表明し、外部の反応を受け止める。
3)自らに高い目標を課して周囲に宣言し、達成にこだわる。


などなど、活躍する人は共通して
自分以外の人の意見に触れる機会を創っています。
要は素直さ、ということになりますね。
もちろん人の意見は聞いていてつらいものもありますが、
それを受け止める。

一方、たくさんの意見に流されすぎてもいけません。


たくさん意見を聞いて、最後は自分で決める。



できる人はこの観点がしっかりしています。


常に個人も組織も健全な危機感を持ち、
会社全体が大きな成長につながるよう、
人事としても環境づくりをがんばります!